社団法人 吹田市歯科医師会
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平成18年度 第4回吹歯学術研修会 聴講報告
再生医療の現状と展望
平成18年6月16日(金)

 講師に財団法人先端医療振興財団、先端医療センター主任研究員の馬場俊輔先生を お招きし、「再生医療の現状と展望」と題してご講演いただきました。

 近年では、インプラントによる補綴治療が一般的になり、ここ数年の間に、多くの診療所で取り入れられるようになりました。そこで問題になるのが、インプラント埋入予定部位に骨量が十分にあればよいのですが、骨の量が不足してくる場合です。特に上顎では上顎洞が存在しているため特に骨移植が必要となってくるケースが多く見られます。最近ではサイナソリフトなどによって骨増成も一般的に行われるようになりましたが、移植する骨が大量に必要となる場合は一般の診療所では自家骨の移植を行うのは難しく思います。また、人工骨や他家骨なども最近では色々な種類の物が用いることも可能になってきましたが、人工骨や他家骨では思うような骨質を獲得するのは困難だと感じておりました。それゆえ、最先端の再生医療の研究に取り組んでいらっしゃる馬場俊輔先生のお話をお聞きできるのを楽しみにしておりました。

  馬場先生は、患者さん自身の幹細胞からつくった培養骨を注入して骨を再生させる治療法の確立に取り組んでおられるとのことです。

  従来、骨が大量に不足している患者さんに対して自家骨の移植を行うには、全身麻酔をかけて腸骨から骨片をとり出し移植する方法がとられていましたが、2週間ほどの入院が必要で、術後は歩行も困難なほどの苦痛を伴っていました。

  しかし、培養骨による骨再生の治療が実用化すれば、骨髄液の採取時の処置と、培養骨移植時の手術を受けるだけですみ、患者さんの負担も大きく軽減されるそうです。

  先生のお話では、培養骨の移植は次のように進められます。まず、手術の1カ月前に、腸骨から骨髄液(20ml)を採取し、この中から間葉系幹細胞を分離します。これを約3週間培養して増やしたものを、つづく1週間で骨芽細胞(いずれ骨の細胞になる細胞)に誘導します。また、手術の前日に患者さんから血液(100〜200ml)を採取し、遠心分離かけてPRP(多血小板血漿)を取り出しておきます。PRPは、骨芽細胞の、いわばエサになる成長因子の役割を果たすとともに、ゲル状で細胞の育つ足場にもなります。手術直前にこれらを混ぜ合わせ培養骨とし、それを上顎洞に注入して骨をつくります。培養骨はインプラントに対する骨のくっつき具合がよく、骨の硬さについても本当の骨に近い硬さが得られるとのことです。

  また、先生はインプラントの為の骨造成だけでなく、歯周病患者に対する歯槽骨の再生にも取り組んでおられ、そのお話も大変興味深く聞かせていただきました。

  歯周病の治療では、上記の方法で培養した培養骨を口腔内に移植します。しかし、雑菌の極めて少ない上顎洞とは異なり、口腔内は雑菌が多く、移植しても細胞が骨をつくる前に死んでしまうことが大きな課題となっているとのことです。先生の研究では、これを克服するため、細胞のすみかとなる生体吸収性の足場を入れる手法をとっておられるとのことです。足場を入れることで、足場が雑菌から細胞を守る働きをするとともに、咬合の圧力にも耐えられる強度をそなえる事が可能になるとのことです。

  どちらの方法も現在の再生医療の研究の中では実用化も近いとのことです。また、一般の診療所においても導入が容易との事ですので、これが実用化されることの歯科界にもたらすメリットは計り知れない物があると感じました。


(学術研修委員会 担当 疋田陽造、葛城範之、山下貴弘)

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