社団法人 吹田市歯科医師会
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第5回吹歯学術講演会 聴講報告

“Harmony with Nature”〜補綴装置と歯周組織の再建との関係〜
平成17年11月30日(水)開催

第5回吹歯学術講演会は、大阪大学大学院・歯学研究科・顎口腔機能再建講座の六人部 慶彦先生に講演して頂きました。講演の題は、“Harmony with Nature~補綴装置と歯周組織の再建との関係〜”でした。

近年患者の顎口腔の審美性に対する要求が高まり、前歯部のみならず臼歯部においても天然歯に近似した形態と色調をもつ補綴装置が求められるようになってきました。陶材焼付金属冠からポーセレンジャケットクラウン、オールセラミッククラウンと患者の要求にそって進化しており、演者にはその過程および技術的なポイントについて御講演いただきました。以下、事後抄録を掲載致します。

 一般的には金属焼付ポーセレンクラウンが広く用いられているが、これはメタルの介在により表面的な色調再現でしかなく、光透過性もなくブラックマージンの問題などもあり、審美的であるとは言いにくい。それらを一層天然歯に近づけたものがオールセラミック・クラウンである。ただし、オールセラミック・クラウンを選択するなら、透過性の問題から生活歯が一番良く、失活歯であればポーセレンCOREやファイバーCOREを選択し、光を遮断するメタルCOREを選ぶべきではない。

次に、オールセラミック・クラウンの形成は基本的には全周ラウンデットショルダーがベターで、前歯部に関する注意点として唇側軸面の形成量がたりない場合が多く、プロビジョナルを作る時に厚みを測り確認するべきである。臼歯部の注意点は2つあり、色調回復に足りる形成量を確保する為に、隣接面以外はしっかりと削合しなければならず、生活歯ではセカンダリーデンチンを形成するように数回かけて形成すべきであり、特に第一大臼歯の近心は審美的かつ機能的でなければならず、術者自身でプロビジョナルを作成し確認・修正の後、補綴物を作成していくべきである。

 次に補綴が原因で起きる辺縁歯肉退縮の原因は7つあると考える。
1.補綴物の適合不足
2.補綴物の形態不良
3.患者のプラークコントロール不足
4.患者の不適切なブラッシング圧
5.支台歯形成前の歯周組織のコントロール不足
6.支台歯形成におけるフィニッシングラインの不良
7.支台歯形成における辺縁歯肉の外傷

 歯肉の炎症は歯間乳頭部から起きる場合が多く、不良補綴物やあまりにも深い隣接面部の形成などが原因となる。このような原因で起きた炎症は、ほぼ外科処置なしで補綴とブラッシングで治癒する。

 次に補綴物の形態では、隣接面部の主に遠心に歯間乳頭を支える凹みすなわち隣接面溝を付与すべきである。また作業用模型のトリミングのため、歯肉形態が失われ隣接面部がオーバーカウンターになりやすく、その結果貧血帯ができ歯肉対縮の原因となる。試適を行い3〜5分で貧血帯が消失すれば、生理的範囲でありそれを目安にする。生物学的幅径を守り、骨整形も必要に応じて行い、リーマーを歯肉に刺し骨頂まで5ミリのところにマージン部を設定することにより残存歯とかわらない審美性を有することになる。

 次にスマイルラインの設定の基準は、上顎の犬歯から犬歯の6本を補綴する場合、その切縁ラインを下口唇の上縁に合わせ、特に犬歯遠心隅角のカーブも調和させる。本来の歯牙の解剖学的形態の切端は近心より遠心の方が長く補綴物作製時には注意を要する。

 最後にポンティックの形態について、一般的にはリッジラップが多いが、リセッションが起これば炎症が起こり、それを回避するために最近ではオベートポンティックが注目されている。しかしながら一度リセッションが起これば、その部位が暗くなるという欠点を持つため、演者はフィンガーチップポンティックを考案した。このポンティックは、名前のとおり指先に形態が似ており、頬側がフラットで舌側が丸みお帯びリセッションしても、暗くならず衛生的である。最後に“どうするかではなく、なぜそうしなければならないかという考えでトレーニング・勉強すべきで、それを継続すれば患者の求めに応じられるようになる。”と結び、終了となりました。

(学術研修委員会 野中優憲、高木忠徳、岡本吉宏、高島 全)

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