社団法人 吹田市歯科医師会
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平成22年度 第8回 吹歯学術講演会 聴講報告

開催日時:平成23年2月23日(水)

「ビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死について、ならびに抗血栓療法患者の抜歯について」

講師に当会会員であり、済生会千里病院歯科口腔外科部長の道澤雅裕先生にお願いし、「ビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死について、ならびに抗血栓療法患者の抜歯について」と題してご講演いただきました。


ビスフォスフォネート (BP)製剤は骨粗鬆症治療の第一選択薬であり、またがん患者や骨量が減少する疾患に対して有効な治療法として使用されている。しかしBP製剤を投与されている患者が抜歯などの侵襲的歯科治療を受けた後に、顎骨壊死(BRONJ)が発生し、BP製剤とBRONJの関連性を示唆する報告が2003年に初めて米国で報告されて以降、相次いでいる。

BP製剤を投与されている患者に対する抜歯、歯科インプラント埋入、根尖外科手術、歯周外科などの侵襲的歯科治療は注意が必要である。また新しいジェネリック薬が増加しているので最新の薬を調べる必要がある。

BRONJの発生頻度は内服患者が0.01〜0.02%、注射投与患者は1〜2%といわれている。臨床症状は骨露出/骨壊死、疼痛、腫脹、オトガイ部の知覚異常、排膿、潰瘍、口腔内瘻孔や皮膚瘻孔等である。診断基準は、(1)現在あるいは過去にBP製剤による治療歴がある (2)顎骨への放射線照射歴がない (3)口腔・顎・顔面領域に骨露出/骨壊死が8週間以上持続している 以上3項目を満たしていることである。リスクファクターとしてはステロイドなどの薬物、喫煙、口腔衛生状態不良、歯周病や歯周膿瘍、がん、糖尿病などがある。部位は、上顎より下顎に多い。

注射用BP製剤投与患者は原則的にBP製剤の休薬はせず、侵襲的歯科治療をできるだけ避ける。経口BP製剤投与患者は、投与期間が3年未満でリスクファクターがない場合は、休薬は不要である。しかし投与期間が3年以上、あるいはリスクファクターがある場合は、処方医と歯科医で検討して休薬するのが望ましい。休薬期間は骨のリモデリングを考慮して3か月以上、再開の目安は術創が再生粘膜上皮で完全に覆われる2〜3週間以降が望ましい。

BRONJの治療は、(1)骨壊死の進行を抑える (2)疼痛や知覚異常の緩和や感染制御により、患者のQOLを維持する (3)患者教育および経過観察を行い、口腔内清掃を徹底する 以上3項目に集約される。具体的には、抗菌性洗口剤の使用、瘻孔や歯周ポケットに対する洗浄、局所的な抗菌薬の塗布・注入などである。


抗血栓療法患者は、血栓塞栓症を予防するために、抗凝固薬(ワルファリン)あるいは抗血小板薬(アスピリンなど)が投与され、PT-INR(基準値0.85〜1.20)を2.0〜3.0(一般的)にコントロールされている。その患者における抜歯については、短期間の休薬を指示する医師や歯科医師がまだまだ多い。

抗血栓薬を休薬すると血栓性・塞栓性疾患発症のリスクが上昇し、一度発症すれば病態は重篤で予後不良である場合が多い。過去の報告によれば、ワルファリン休薬100回につき約1回の割合で血栓塞栓症が発症するといわれている。日本循環器学会の抗凝固・抗血小板療法ガイドラインでは、「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」と明記されている。

PT-INR 2.0〜4.0 であれば、抗血栓薬継続下でも重篤な出血性合併症を伴わずに抜歯できるといわれている。伝達麻酔はやめ、サージセルを用いたり、止血シーネを準備しておくなどの対策をして、抗血栓薬を継続したまま抜歯することが望ましい。



BP製剤とBRONJ、抗血栓療法患者の抜歯について、医師にも歯科医師にも患者にも情報や知識などが広く正確にいきわたっていないのが現状であることから、正しい情報や知識を共有するためにも有意義な講演会でした。


(14班 安永 哲也)
 

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