社団法人 吹田市歯科医師会
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平成21年度 第2回 吹歯学術講演会 聴講報告

開催日時:平成21年7月21日(火)

「高齢化社会における歯科治療は???」

近年高齢化が進み、歯科医療においても見過ごすことができなくなってきています。
年齢を追うごとに、部分入歯から総義歯に移行していき、残存歯が少なくなっていきます。
高齢になるにしたがって、『健康な心と身体は口腔から』とも言われているように、口腔の健康が高齢生涯者の生活の質を高めます。

歯科治療の効果により咀嚼能力を高めることにより、日常生活活動能力(ADL)、生活機能(社会的役割)、全身健康、運動能力を改善し、義歯等を入れることで生命予後をたかめます。
また咀嚼力と握力は正比例していて、健康で歩くのが速い男性には義歯では満足は難しいみたいです。
歯科医療のニーズの変化として、人口構成の変化、疾患構造の質的変化(慢性的な高齢者のう歯・根面う歯など)、少子高齢化や小児のう歯の減少により、予防歯科学が増えてきています。また中・高年齢の残存歯の増加により、歯科的ニーズは中・高齢者にシフトしています。しかし、補綴治療のニーズは減少せず、床義歯は高齢人口の増加で減少しない傾向です。

高齢者の特徴

身体的特徴として、

  1. 一人で多くの疾患を持っている
  2. 個人差が大きい
  3. 症状が非定形である
  4. 薬剤の反応が成人と異なる
  5. 生体防御力が低下
  6. 老年病および老年症候群の頻度が高いetc

精神・心理の変化、

  1. 加齢による知的機能の変化・認知症など
  2. 精神疾患・機能障害(不安障害・情動障害)
  3. 心の老化

高齢者の歯科治療の困難さはコンプロマイズドホストが増えてくる(血圧が高いetc)

その原因としてコミニュニケーションの困難な患者が増えてくる(耳が遠いetc)のと高齢者特有の性格として

  1. 心の老化?
  2. 精神・神経疾患?
  3. 治療に関しての満足の相違?

それにより歯科治療のゴールと患者の求めるゴールとの違いにより、お互いの満足が得られないことがおこってきます。

心の老化・高齢者に特有な心理の要因

  1. 高齢期に生じる(何らかの喪失)
  2. 脳の老化による精神機能低下
  3. 多発する身体的疾患
  4. 社会が老い認めない環境(老醜)

高齢期に生じる(何らかの喪失)として

  1. 心身の健康の喪失・老化もしくは病的変化により心と体の健康を失う(うつ、認知症により日常生活の自立を失うetc)
  2. 経済的基盤の喪失は、経済的喪失は社会とのつながりを断ち切る
  3. 社会的つながりの喪失として、配偶者や旧知の友人を失う、仕事や社会的経歴から引退
  4. 生きる目的の喪失は家族や組織の為に働いていたのが無くなる、立身出世する意欲がなくなる

脳の老化による精神機能の低下(脳の老化により学習能力などの精神機能の一部の低下・アルツハイマー型のように初老期に起こる場合もある)
コミュニケーションの困難さ(高齢者には話が通じてないことがたびたびある)高齢者の診療室に入って来るペースに合わせる。うがいをするペースに合わせる。
多発する身体疾患として、高血圧・狭心症・心筋梗塞・不整脈・弁膜疾患・動脈性疾患・脳血管障害・糖尿病などがあり、60パーセントがどれかの疾患を持ち歯科治療において注意が必要となってきます。慢性的であり日常生活の自立を目標として、患者も医療者も病気と共に生きることを知り、ハイリスクの患者の術中における偶発事故に十分注意が必要です。

社会が老いを認めない。老醜という言葉があるように、老いを認めない(社会では老いることは醜いことになる)高齢者の心理状態の特徴否定側面から

  1. 長谷川論文(個体レベルの老化、新老年学、東京大学出版1992)
  2. 太田論文(老化とは何か、新老年学、東京大学出版1997)

高齢者の心理状態の特徴として

  1. 思考や行動のスピードの低下から、行動の遅さやタイミングの悪さがみられ
  2. 知的機能低下は一様には生じないが、判断・常識・古い記憶は徐々に衰退、思考力・計算力も衰退が著しいことがある
    長谷川論文から

科学的根拠に基づく医療(EBM)患者のナラティブ(NBM)コミュニケイションを大切にする治療が必要となってきます。正しい咀嚼能力はボケから身を守ります。

日本の平均寿命は82歳で、健康寿命は75歳で、平均して約7年は介護の対象となります。これをできるだけ少なくしなければなりません。

プライマリーケア歯科医としての役割は、虫歯、歯周病などを完全に治療することはもちろんですが、治療終了後からのサポーティブデンティストリーも重要となります。
患者さんの歩く、チェアーに座るスピードで、説明・診療することが大切で、やがて誰もが行く道です。優しくしてあげましょう。



(学術研修委員会  担当 中野 雅由)
 

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