社団法人 吹田市歯科医師会
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平成21年度 第1回 吹歯学術研修会 聴講報告

開催日時:平成21年6月19日(金)

「口腔癌放射線治療(第一部)」
「歯・顎・顔面領域における総合画像診断(第二部)」

講師に大阪歯科大学歯科放射線学講座教授の清水谷公成先生をお招きし、「口腔癌放射線治療(第一部)」「歯・顎・顔面領域における総合画像診断(第二部)」と題してご講演いただきました。

「口腔癌放射線治療(第一部)」

大阪歯科大学附属病院における口腔癌治療患者の多くは、大阪大学医学部附属病院・放射線科とのチ−ム医療で行われてきました。その大半は放射線治療を主軸に行われており、放射線治療単独で功奏した症例が数多く蓄積されています。大阪歯科大学附属病院と大阪大学医学部附属病院との連携は1972年にさかのぼり、現在まで37年の歴史があります。

口腔癌の治療方針は、原発巣の発生部位、大きさ、進展度、頸部リンパ節転移の有無および遠隔転移の有無によって決定されます。

1980年代以前は、多くの患者に対して外科治療が主軸として行われてきました。理由は形態・機能温存よりも根治性に重点が置かれたことによります。その結果、治療後に顎顔面部に大きな欠損を残すことになり、咀嚼・嚥下・会話などの重要な顎顔面機能の低下をきたしました。また審美性の回復も困難であったため、精神的な負担も増すことになり、患者のQOLは著しく低下しました。

近年では、口腔癌の放射線治療は、根治的かつ形態および機能温存が可能となったことから、第一選択とされる場合が多くなってきました。口腔癌の大半は扁平上皮癌であり、中等度から高度の放射線感受性を有しているからです。アメリカでは口腔癌全体の66%に放射線治療が第一選択とされています。それに対して日本は25%であり、積極的な放射線治療の選択が望まれています。

他にも、形態および機能温存の特性から男性においては、前立腺癌・肺癌・直腸癌に、女性においては、乳癌・肺癌に放射線治療が増加しています。

放射線治療の方法には、外部照射と組織内照射があります。

  1. 外部照射には、照射野をリニアックで180度挟んで照射する対向二門照射、リニアックの付いたロボットアームを病変部に合わせて動かし、放射線を照射するCyber Knife、放射線の照射中に、照射野の形と照射野内の放射線強度を異なるように設定し、腫瘍に集中的かつ他臓器になるべく照射されないような線量分布が得られる強度変調放射線治療 (IMRT) などがあります。
  2. 組織内照射は、腫瘍の中に直接放射線源を挿入する方法です。腫瘍に直接多くの放射線が照射できるため治療効果が高く、一方で正常組織に照射される放射線量はわずかで、副作用は少ないとされています。
    初期(T1N0)および早期(T2N0)舌癌の場合、5年局所制御率は、80%前後の良好な成績であると第27回日本口腔腫瘍学会において報告されておられます。

「歯・顎・顔面領域における総合画像診断(第二部)」

歯・顎・顔面領域の疾患に対しては単純エックス線撮影(口外法および口内法)をはじめ、エックス線CT、MRIあるいは超音波検査など種々様々なモダリティ−が疾患に応じて適用されています。エックス線画像診断の基礎は骨学であり、骨学の習熟無くして適切な画像診断は困難です。医療事故もエックス線写真の正しい読影によって回避できるものもあります。誤った読影によって起こった医療事故には、以下のものがあります。

  1. インプラント手術による下顎管の損傷
  2. 翼突下顎隙へのバーのおよび歯牙の迷入
  3. 上顎洞へのバー、歯牙、インプラント体の迷入

また医療事故のリカバリーも正しい読影なくしてはできません。しかし、医療事故を未然に防ぐことが第一であり、そのためにもパノラマエックス線写真において、歯牙、歯周組織だけでなく、上顎洞、顎関節、筋突起、下顎体部の正しい読影を行うことが大切なのです。

放射線治療は、歯科医師として必要不可欠な知識であると同時に、パノラマエックス線写真をはじめとした画像診断の際には、慎重に読影を行うことの大切さを痛感いたしました。



(学術研修委員会
担当 喜島裕剛、青木建雄、糠谷吉秀、加藤一成、中川正敏、崎中仲晃)
 

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