社団法人 吹田市歯科医師会
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平成20年度 第7回 吹歯学術研修会 聴講報告

開催日時:平成20年10月21日(火)

効率的な感染根管の攻略法 -感染源はどこにある?-

講師に当会会員であり、大阪大学歯学部招へい教員の木ノ本 喜史先生にお願いし、 歯内療法シリーズ第3弾として「効率的な感染根管の攻略法 -感染源はどこにある?-」と題してご講演いただきました。
感染根管治療は、感染した根管から感染源を除去して、根尖病変の発生を予防したり,治癒に導いたりする治療法です。現実にはさまざまな要因により感染源の100%の除去は困難です。感染根管治療においては,根管内の感染源を素早く探し出し、効果的に除去する必要があります。そして効果的に高い除去率を達成するためには、感染源の量が多い部位から除去を始めるのがよいと考えられます。
今回は感染源の多寡に注目した効率的な感染根管治療を考えてみます。
感染根管における感染源は、口腔内の細菌が歯冠のカリエス等の上方から侵入することが多いです。
歯内療法で根管内における感染源の残り易さは、以下の順に多い。

根管口周囲のカリエスの残存>主根管の見逃し部分>イスムス、フィン、凹み>トランスポーテーション部分>側枝、根尖部穿孔部>象牙細管

1) 根管口周囲のカリエスの残存
根充後にそのままキャストコアの印象ができるぐらいにカリエスを残さず 除去する。残存すると根管口から細菌の侵入を許し治療を困難にします。
目視と手用器具による触感でカリエスの除去を確認することが大切です。
2) 主根管の見逃し部分
根管の探索は、基本的に歯髄腔は、根の断面に相似形に存在します。
上顎前歯以外は、複数根管が存在するため、見逃がしに注意が必要です。
一般的に根管口の探索は、歯軸方向にファイルで行うが、根管口が髄室の側方または側壁に存在することがあります。
3) イスムス、フィン、凹み
根管は、円形ではなく、イスムス、フィン、凹みが存在し、そこに感染があり、治癒を困難にする場合があります。1根の中に2根管が存在するときは、 イスムスで繋がっていることが、多いです。イスムス、フィン、凹みの清掃は、次亜塩素酸ナトリウムと超音波洗浄が有効であり、顕微鏡を併用し目視下で行うとさらに清掃性が向上します。
4) トランスポーテーション部分
本来の根管と誤った方向に拡大されたトランスポーテーションは、まずガッタパーチャを除去し、プレカーブをつけて再度、本来の根管を探索し拡大し感染源の除去をします。根管の湾曲を理解し、臨床の根管解剖の知識がトランスポーテーションの予防となります。
5) 側枝、根尖部穿孔部
側枝への感染は、EDTAまたは、次亜塩素酸ナトリウムと超音波の洗浄で感染源の除去を行います。
根尖部穿孔部においては、根尖より約3mm手前までの感染源を徹底的に除去した後、根尖付近の感染源を慎重に除去します。根尖孔が軟化していれば拡大します。根尖まである程度広くなったら超音波洗浄し根管長から1.0〜2.0mm程引いてアピカルストップをつけます。ビタペックス等で根尖を封鎖し3〜4か月経過観察とします。
症状が持続すれば根切等の外科的処置を検討します。
6) 象牙細管
一つの象牙細管に1つ細菌が侵入し同種の細菌が増殖する傾向があります。
象牙細管に感染した細菌を無にするのは、困難なため、感染源を除去し根管充填で緊密に封鎖することで残留した細菌の増殖を阻止します。
象牙細管の細菌に対しては、EDTA、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。

根管治療の成功率は、抜髄根管で約9割、再治療の感染根管で約7割と報告されています。 治療時に患者への説明が非常に重要です。

以上日常の診療に遭遇し苦慮する症例の対処法が多く、明日からの治療においてすぐ 取り入れられる非常に役に立つ講演でした。



(学術研修委員会
担当 三木 秀冶、崎中 仲晃、築谷 康二、渡瀬 憲之、中川 正敏、中野 雅由、加藤 一成)
 

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