社団法人 吹田市歯科医師会
TOP 会の紹介 医院案内 健診と活動の紹介 お知らせ 歯科情報Q&A 会員専用ページ 口腔ケアセンター リンク集
医療・保健関係者への情報
平成20年度 第4回 吹歯学術研修会 聴講報告

開催日時:平成20年7月23日(水)

明日から出来る口腔がんと口腔前癌病変のスクリーニング

講師に大阪大学歯学部顎口腔病因病態制御学講座(口腔外科学第一教室)准教授 大倉 正也先生をお招きして、第4回 吹歯学術講演会が開催されました。

国立がんセンターのがん情報によれば、日本において2001年に9612名の方が口腔・咽頭がんに罹患され、2005年に5679名の方が口腔・咽頭がんにてお亡くなりになっています。2023年までがん罹患数は1.5倍になると予想されています。したがって口腔がん・口腔前がん病変を早期発見できる一般の歯科医を多く作ることが必要です。

その目的は、

  • 1.患者のQOL を高める。
  • 2.クリニックの評判を良くする。
  • 3.医療費の抑制。
  • 4.訴訟にならない様にする。

1950年代から、日本人のがん患者は増え続けており、がんが死亡原因の1位になっているのは日本の特徴です。世界統計では2002年までに、27万4千人が口腔がんに罹患し、12万7千人が死亡しています。

医療費の問題では、例えばT2N0 stageII の治療費は約60万円。T4N1 stageIV の治療費は約150万円かかります。早期発見出来れば医療費も少なくて済み、術後の機能回復も期待できます。

5年生存率は、stageI で87% stageII で80% stageIIIで68% stageIV で52%。だからstageI,IIで発見することが大事です。阪大病院への紹介患者の76%が歯科医からの紹介です。

訴訟の問題では、2005年2月に仙台地裁での判決で転医勧告義務違反を認め、慰謝料500万円の判決がでました。

口腔がんの発生の男女比は、男:女=2.5:1 年齢層では、40歳以上が92% 従って主に40歳以上の男性に気を付けていただきたい。

口腔がんの90%が扁平上皮がん・・・特徴は潰瘍と白っぽくなるところです。発生場所は、舌が40% 下顎の歯肉が19% 上顎歯肉が14% 口腔底が10% 頬粘膜が9,6%となっています。

口腔がんの2大危険因子は、喫煙(一日二箱以上)と飲酒(一日六杯以上)です。
歯肉の白板症は、がん化するのは少ないが口底・舌・口唇はがん化しやすいです。
診断に当たっては、口腔病理医のいるところで生検を受けることが大切です。
白板症の患者がきたら、まず何か刺激を取って(歯牙削合等)2週間様子を見ます。
 (2週間ルール)治らない様なら、がんを疑います。
舌のがんは、必ず舌縁(舌を引っ張って見える場所)にしか出来ません。
頬粘膜がんは、あたらないところに白板があれば怪しいと思っていただけたらいい。
歯肉の上顎がんは、入れ歯があわないことから始まります。
下顎は歯肉の舌側がつぶつぶで膨れてきたら気をつけます。
上顎洞がんは、初期は何も見えません。
下顎骨中心性がんは、折れて噛めなくなってわかることが多いです。

がん治療は、標準治療に基づいた治療です。つまり、手術と放射線治療のみです。5年生存率は、口腔・咽頭がん56% 口腔がん50,4% 阪大病院では73,4%です。stageI,IIの場合、放射線治療で、90%の治癒が認められています。stageIIIで転移がない場合、手術か放射線治療で80%の治癒が認められています。stageIII,IVで転移がたくさんある場合は、手術後放射線治療を行うのが標準治療となっています。

口腔がんは頚部リンパ節転移が多く、阪大病院では転移が37%認められている。小さな転移、不顕性転移(オカルト転移)の率が高いと頚部廓清をします。リンパ節だけを取って後は全部残します。その結果、機能を温存出来ます。

進行がんの場合、標準治療は手術をして放射線療法が一般的ですが、同時性放射線化学療法(放射線を照射しながら化学療法をする)という方法もあります。今まで治療不可能と思われていた症例も治療可能となってきましたが、術後の機能回復が悪いのが問題です。



(学術研修委員会
担当 田中隆雄、糠谷吉秀、松井茂和、木ノ本喜史、諏佐伸彦、平良 淳、菱田 茂)
 

TOP | 会の紹介 | 医院案内 | 健診と活動の紹介 | お知らせ | 歯科情報Q&A | 会員専用ページ | リンク集 |
社団法人 吹田市歯科医師会