社団法人 吹田市歯科医師会
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平成19年度 第9回吹歯学術講演会 聴講報告

歯周治療の診査・診断からSPTまで

平成20年2月19日(火)

講師に豊中市にてご開業されています白井義英先生をお招きし、「歯周治療の診査・診断からSPTまで」と題してご講演いただきました。

平成17年度の歯科疾患実態調査によると、30〜69歳の年齢層の80%以上が羅患しているという報告があります。これらが意味するものは、人口にすると約9,500万人が歯周組織になんらかの病変を有しているということです。初診時に歯周病に羅患された患者さんへの、対応、歯周治療計画の立案して基本治療から歯周外科(GTR法)、更に歯周治療終了後のメンテナンスやSPT(サポーティブ・ペリオデンタル・セラピー)に移る時期等についてのご講演を貴重なスライド写真を多数交えながらしていただきました。以下聴講報告させていただきます。

◎よく診る歯周病
1)歯肉炎(プラーク性歯肉炎、非プラーク性歯肉炎、歯肉増殖)
2)歯周炎
慢性歯周炎(アタッチメントロスを認める骨吸収を伴う)
侵襲性歯周炎(プラーク付着量は少ない、10歳〜30歳代で多い)
遺伝疾患に伴う歯周炎
3)壊死性歯周疾患(壊死性潰瘍性歯肉炎、壊死性潰瘍性歯周炎)
4)歯周組織の膿瘍(GA、AA)
5)歯周―歯肉病変
6)歯肉退縮
7)咬合性外傷(一次性咬合性外傷か二次性咬合性外傷か、これらはアタッチメントロスを認められない)

歯肉炎と歯周炎

歯肉炎の原因はプラークであり、炎症症状は歯肉に限局し歯根膜や歯槽骨に炎症は波及していない。また歯周ポケットは形成されるがアタッチメントロスを認められず、特にプラークリテンションファクター(歯石、歯列不正 歯肉歯槽粘膜部の異常、不適合修復物・補綴物等)により増悪することが多く、外傷性因子による増悪は認められず、プラークコントロールにより改善が認められ歯周炎の前段階と考えられる。普通の歯肉炎を治療できなければGTR法も成功に結びつかず、歯肉だけに炎症があるので、歯肉縁上のプラークコントロールができること、又、医院内システムとして衛生士だけに任せるのではなく歯科医師も診ていくようにすることが望ましいです。

歯周炎はセメント質、歯根膜、歯槽骨が破壊されアタッチメントロスが生じ、歯周ポケットが形成され、深くなってくると、歯周病原細菌が増殖し、炎症を持続させる。又、プラークリテンションファクターにより増悪し、外傷性因子が併発すると急速に進行する。全身的因子はリスクファクターとして働き、部位特異性が認められ、休止期、活動期が見受けられ、重度になると悪循環が生じ急速に進行しやすいが、原因の除去により改善、停止する。環境的因子ならびに全身的因子は喫煙、ストレス、糖尿病、心臓病、肥満、呼吸器疾患、早期低体重児出産等又、年齢、性別、遺伝的因子、メタボリックシンドローム等など患者の特異性を把握することも重要視され、SPTやメインテナンスも重要となります。

歯肉炎と歯周炎の識別はレントゲンでの識別も難しく、コラーゲン繊維の存在も困難である。アタッチメントロスの見つけ方として、ブロービングにてCEジャンクションをこえて入るかどうか(4mm以上)が指標となる。

歯周治療の進め方

予防と治療の重要性という観点から、チームワークによる口腔衛生指導・プラークリテンションファクターの除去・外傷性咬合の除去・対症療法等が挙げられ、治療の進め方はプラークコントロールの確立・検査に基づいた診断、計画と患者の同意が必須である。症状の安定と治癒に至るとSPTの必要性が重要で4mm以上のポケットや根分岐部病変などが残存すると再発する可能性が高い。検査の段階ではスタディモデルはかかさず行い、ポケット検査において患者に鏡を持ってもらって行ったほうがより効果が得られるものである。診断時において、細菌性プラーク、外傷性咬合、全身性因子、生活習慣などのいずれかを大まかに把握したほうが良い。

歯周病に起因する疼痛を主訴とした患者には疼痛の改善を優先し、炎症の急性期症状の場合は投薬を行う。歯肉炎と歯周病の主要な原因は歯肉縁上及び縁下のプラークである為プラークコントロールが優先され、スケーリング・ルートプレー二ングは初期の時期では縁上のみを行いブラッシング確立後、縁下部を行い、象牙質視覚過敏になり得ることもあるので、十分説明を行う。

咬合性外傷の主要な所見としては、動揺とエックス線所見における歯根膜腔の拡大及び垂直性の骨吸収である為必要に応じて形態修正や暫間固定を行ったほうが良い。

根分岐部病変、歯周―歯内病変の識別、咬合機能回復治療として不良補綴物(辺縁隆線の位置、カウンター等)歯列不正への対応なども重要である。

初期(非外科的)治療の効果は臨床的には諸症状が改善し組織学的には歯周組織中から炎症症状が消失する。通常の治癒形式はアタッチメントの位置は変わらず上皮性付着による治癒を示すので、初期(非外科的)治療と外科的治療の効果は同等に考えられる。再付着の場合は健康な状態で、新付着の場合はアタッチメントロスのあることが前提でセメント質と繊維性付着が同時に生じる為、縁上プラークコントロールと縁下プラークの抑制ができれば上皮性に治癒しその継続により再発と進行が阻止される。

メンテナンスとSPT

従来、治癒した歯周組織を長期間維持するための健康管理、すなわち患者本人が行うセルフケアと歯科医院従事者による専門的ケアを行ってきたが、今後、治療の一環として再発の防止、早期発見・早期治療、歯周組織環境の長期にわたる維持目的とし、歯周基本治療や歯周外科治療、そして修復、補綴治療などの咬合機能回復後、症状が安定したと判断された場合、その状態を長期間維持させるために行う歯科医院従事者による専門的な定期的治療であり、歯周治療の予後を良好に保つための唯一かつ不可欠な治療とされている。後半は症例を通じて講演をしていただきましたが、今回保険導入されている内容で材料と点数に矛盾が生じている。又、前面的に歯科医師が行い衛生士にまかせっきりにならないようにしなければならない。



(学術研修委員会
第2班 三木秀治、崎中仲晃、築谷康二、渡瀬憲之、中川正敏、中野雅由、加藤一成)
 

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